『ばけばけ』脚本はふじきみつ彦！“夢を叫ばないヒロイン”が描く、静かな朝ドラ革命の予感とは？

2025年後期のNHK朝ドラ『ばけばけ』。
注目のテーマやキャストに隠れて、じわじわ話題を呼んでいるのが…
脚本家・ふじきみつ彦さんの起用です。

「夢を叫ばないヒロイン」──この異色のキャッチコピーの背景には、
ふじき氏が紡ぐ“日常に寄り添う静かな物語”という作風が光っています。

本記事では、ふじきみつ彦の作家性・過去作・ばけばけとの相性を徹底分析！
“静かだけど深く染みる朝ドラ”を期待したくなる理由に迫ります。

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【インタビュー📷】
放送中のTBS系日曜劇場『御上先生』に出演し、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』でヒロインを務める髙石あかりさんが晴れ着姿で登場

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— タレントデータバンク【公式】 (@talent_databank) January 24, 2025

ふじきみつ彦ってどんな脚本家？

“静かに、じわっと効いてくる”ストーリーテラー

ふじきみつ彦は、ドラマ・映画・舞台・コント脚本など幅広く手がけるマルチライター。
派手な展開やセリフではなく、日常の小さな感情や空気感を描くことに長けた脚本家です。

その作風は、“劇的ではないのに、なぜか涙が出る”と評されることもあり、
「何も起きないようで、心は大きく動いている」という世界観が特徴です。

朝ドラ脚本は初挑戦！でも“相性抜群”の予感

実はふじき氏にとって朝ドラの脚本は今作が初。
ですが、これまでの作風を見る限り、“家族・仕事・社会との距離感”を
丁寧に描く力は、まさに朝ドラ向きといえるでしょう。

特に、『ばけばけ』のような明治時代の空気感と異文化の交差を描くには、
繊細な人間描写が必要不可欠。
その点、ふじき氏の手腕には大きな期待が寄せられています。

代表作から見る“ふじき節”の特徴

① 阿佐ヶ谷姉妹の のほほんふたり暮らし（NHK）

第30回橋田賞を受賞したNHKドラマ。
日々の食事、洗濯、テレビの感想……“日常の愛しさ”を丁寧に描き、
派手さゼロでも視聴者の心に染み渡る物語として高く評価されました。

② 一橋桐子の犯罪日記（NHK）

孤独死の不安を抱える高齢女性が、刑務所に入ろうと“軽犯罪”に挑戦する異色のヒューマンドラマ。
ユーモアと哀しみのバランスが絶妙で、“弱さを優しく肯定する視点”が光ります。

③ 子供はわかってあげない（映画）

高校生の男女が、さりげない会話の中で心を通わせていく青春映画。
“登場人物たちがどこか不器用で愛おしい”という空気が漂い、
ふじき作品ならではの余白ある対話と感情が魅力です。

ふじき節＝「静けさの中にある真実」

これらの作品に共通しているのは──
大きな声では語られない感情、見逃されがちな優しさを、
笑いや日常を通じてそっと届ける手法です。

ばけばけの舞台となる明治の松江、
そこで“声にならない想い”を拾うヒロインを描くのに、
ふじき氏ほど適任な人物はいないかもしれません。

『ばけばけ』との親和性は？

「声なき人の物語」を描く視点

『ばけばけ』の大きなテーマのひとつは、
名もなき人々が“怪談”という形で声を持つこと。
これは、ふじきみつ彦が得意とする「見えない声をすくい上げる物語」そのものです。

派手なセリフではなく、心の内を丁寧に描く。
過去作で一貫して大切にされてきたその姿勢は、
明治という“化ける”時代を生きたヒロイン・トキの存在に、優しくフィットしています。

異文化・異言語をどう描くか

『ばけばけ』では、外国人教師・ヘブンとの出会いが軸にあります。
言葉も文化も違うなかで、どうやって人と人は分かり合えるのか。
この“ずれ”と“理解”の描写は、ふじき氏の対話表現にピッタリの素材です。

“化ける”という静かなテーマに最適

「ばけばけ」という柔らかくも不思議なタイトル。
それはまさに、大声ではないけれど確かな“変化”を描く物語。

強く叫ばずとも、“変わっていくこと”を誇りにできる人間ドラマ──
それが描けるのは、ふじきみつ彦という脚本家の手腕あってこそです。

“夢を叫ばないヒロイン”とは何か

朝ドラの“定番”をあえて外す理由

これまでの朝ドラでは、「夢を持つ」「努力で乗り越える」「声を上げる」
そんな前向きでエネルギッシュなヒロイン像が定番でした。

しかし『ばけばけ』のヒロイン・松野トキは、夢を叫びません。
声高に希望を語るのではなく、静かに状況を受け止め、自分の足で歩いていくのです。

“静けさ”は、強さでもある

派手なセリフも、劇的な逆転もない──でも、
静かな環境の中で選びとる言葉には、
大きな責任と、深い愛情が込められています。

「自分の気持ちに嘘をつかない」
「誰かの想いを引き継ぐ」
それこそが、トキの“夢を叫ばない強さ”なのです。

それでも“夢”は、ある

『ばけばけ』が描くヒロイン像は、夢を否定しているのではありません。
言葉にならない願いを、形にして残すという、
まるで“物語を紡ぐこと”そのものが夢のような生き方なのです。

夢を叫ばず、語ることで人を救う──
そんなヒロインが、明治の松江から新しい朝ドラの可能性を切り開いてくれるかもしれません。

まとめ｜“静けさ”が主役になる朝ドラのはじまり

ふじきみつ彦が描く『ばけばけ』は、
夢や声を大きく掲げなくてもいい、等身大の朝ドラ。

そこにあるのは、目立たないけれど大切なこと。
文化の狭間で揺れる人々の思い、誰にも知られずに消えていった声──
そうした“日常の中の奇跡”を、そっとすくい上げるような物語です。

「夢を叫ばないヒロイン」というコンセプトは、
「変わることを、静かに誇る」という強さを教えてくれます。